阿佐ヶ谷の住宅街に建つ母娘2人のための住宅。
空調・換気として、OMソーラー(株)の最新システムであるOMXを導入した。OMXは省エネルギーを保ちながら、暖冷房・給湯・熱交換換気を1台で賄う。暖房は床暖房、冷房は天井から微風が吹き、年間を通して室温を自動制御するため、エアコンのような不快感がない。
母の年齢を考慮し、車椅子でも生活できる設計としたが、現在の生活および意匠性も尊重し、完璧なバリアフリー住宅ではない。屋外の斜路も今はなく、植込みスペースを将来的に斜路として整備できるようにとどめた。
1階のリビング・ダイニングは建物を南北に貫くがらんどうな空間とし、家の中心となるよう設計した。室内建具をすべて引戸としたため、外部建具も合わせて開けることで、家全体に風通しができる。
建物の南北東それぞれに庭・植栽スペースを設けた。さらに2階寝室にも隣接するテラスがある。敷地南端に元々あったイロハモミジの樹を保存し、3つの庭それぞれに植栽を施した。道路、隣家から少しだが引きをとって緑を配置し、生活に豊かさを与えることを狙った。
この住宅を見る人は、外観からは特殊性は感じられないであろう。勾配屋根の、さりげない日本の民家である。しかし実際はOMXの最新技術を持った「現代的民家」とも言える。OMXはエアコンのように都度自分で空調を操作する必要はなく、全自動で最適な空調を提供する。住み手はストレスを感じることなく、このさりげない家の、特別な快適性を感じるであろう。