「雲仙地獄」で有名な雲仙温泉の新湯地区にあり、地獄とは独立した源泉を持つ老舗旅館の外装改修計画である。
急勾配屋根のタイルが経年劣化で危険な状況にあったため、外壁の塗替えと合わせて改修した。屋根葺き材は落下の恐れの少なく、質感に優れた自然石で葺かれたアスファルトシングルに変更した。外壁は色数を少なくし、更に不要と思われる手すり、装飾も撤去してできる限り見た目を単純化した。塗装色は薄いグレーとして落着きのある印象を持たせた。
また、5階の客室にエアコンを設置するため、足場材とアルミスパンドレルを用いた室外機置場を当該客室の外部に設けた。
既存建物は全体として意匠に強いコンセプトを含んだものではなかった。とれるものはとり、補修する部分はできる限り単純化することで、より現代性を持ち、来館する宿泊客に好印象を与えられるような設計とした。