以前内装を設計した「焼鳥火團」の隣の区画の焼肉店「炭焼工房 朱雀門」の内装設計である。
板橋からこの区画へ移転するにあたり、個室を多くして高級感を打ち出し、ロースターの排気ダクトは全て隠蔽し、明るめの店内としたいというご要望があった。区画が不整形状のため、席数をできる限り多くしながら、お客様が快適に過ごすことができる客席をどのように配置するかに注力した。
既存建物の排気経路の制限から、店舗として最も重要な厨房は区画の西側に配置することから計画を始めた。厨房に必要なおおよその面積、及び既存の壁・柱位置を考慮して厨房とそれ以外の室の壁位置を決定した。
客席数を多くするため、ガラスファサードに面するエリアの大部分はベンチシートを並べオープン席とした。その上で、高級感、個室感を出すため、化粧柱・梁を配置し、ベンチシートどうしの背面には衝立状の板を入れる工夫をした。ガラスファサードの角にあたるエリアも壁で囲うことで個室の雰囲気を出した。ガラスファサード沿いは元々腰壁があったが、その腰壁に沿ってロースターの排気ダクトを配置し、造作で隠蔽した。
オープン席のエリアは開放感を出すために天井高さを基本的に2700mmとした。一方、個室エリアは親密さを出すために2300mmとして計画した。
窓がない他のエリアは、「半個室」とした1室以外、すべて個室とした。客席面積を最大化するため通路幅を900mmで統一し、お客様・店舗スタッフと建具が交錯しないよう、個室の建具はすべて壁への引込み戸とした。「特別個室」は、お客様の快適性を高め、特別感を醸し出すため、スタッフの出入り回数を抑えるために、主にドリンクをセルフサービスとするためのカウンターを設けた個室である。照明計画等で工夫し、他の個室より華やかささを打出す意匠とした。
焼鳥火團で窓際に並べて設置した化粧欄間の手法を、この計画でも踏襲した。ガラスファサードの範囲の窓際と、オープン席の化粧柱の間に、オリジナル意匠の欄間を製作して設置した。また、個室2室にも同じ意匠の化粧欄間を設置し、高級感の創出を狙った。この工夫により、建物2階部分の2店舗の外観に統一感を出すことができた。